著者
喜岡 恵子
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 = The journal of Reliability Engineering Association of Japan (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.98-104, 2010-03-01
参考文献数
8

われわれは学校や職場において,さまざまな評価を受けている.入学試験や採用試験などテストによって,一人ひとりのその後の人生を左右する評価がなされることもある.心理データの中でも特にテストの結果について,データを読み解く能力,心理データ・リテラシーが,テスト作成者,テスト利用者,受験者には必要である.ここでは,テストに求められる公平性,妥当性,信頼性の観点からテスト・データを読み解く上での留意点について示す.
著者
高田 毅士
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 = The journal of Reliability Engineering Association of Japan (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.84-89, 2010-03-01
参考文献数
10

構造物,設備や部品から観測データや試験データが入手できれば,これらの性能の評価精度は向上する.これにはベイズの更新理論(Bayesian Updating Theory)が有効であることはよく知られている.具体的には,対象物の保証試験(Proof test)による試験データあるいは無被害データ(大きな力を受けても壊れなかったという事実)を有効に利用できる.また,構造物に作用する外荷重の評価においても建設地点固有の観測データが得られれば容易にベイズ更新理論を応用してより精度の高い予測を行うことができる.本解説ではこれらの応用例を紹介する.まず,保証截荷試験を構造信頼性理論の視点から論じ,構造部材の耐力に関する試験データという新しく獲得された情報を用いて対象部材の信頼性を評価した場合,試験実施の効果について論じている.ベイズの更新理論の応用例として,近年,高密度に配備されてきた全国地震観測網で観測される地震動データを活用して,観測点固有の地震動予測式を構築することができ,その有用性について紹介している.いずれの応用においても,貴重なデータを最大限に活用しようとする試みであり,試験や観測実施のインセンティブとなることを願っている.
著者
杉本 旭
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 = The journal of Reliability Engineering Association of Japan (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.276-281, 2011-09-01
参考文献数
5

国際規格ISO12100によれば,「安全とは受け入れ難いリスクがないこと」である.よって,マネジメントの立場から,「製造者は,許容されるリスクレベルの製品を提供すべき」とする安全の原理(Risk-based management safety)が存在する.もう一つの設計者による安全確認の原理(Design-based control safety)は,「危険の可能性のある機械的操作は安全確認を条件とし,安全が確認できないときは操作を実行しない」とされ,安全確認の原理とも言われる.技術的限界で残る危険であれば,使用者(労働者)に使用安全(Safety of use)を委託することになるが,その場合,使用者(労働者)は,安全の原則に準拠して達した「許容リスク」と「使用安全の条件」に関する説明を受ける権利を有する.本論文では,「安全確認→運転許可」の安全確認の原理に則り,運転許可を与える安全の条件を制御によって積極的に作り出す安全を「積極的安全」と位置づけ,わが国の消極的安全と対峙し,近年の欧州が機械の高稼働率のために適用している積極的安全について述べる.